Adobe Analyticsの直帰とバウンスの謎

Adobe Analyticsの直帰とバウンスの謎

シンプルなはずの「直帰」は、Googleアナリティクスでは「直帰」で統一されていますが、Adobe Analyticsの場合は複雑で、「バウンス」と「直帰」と「単一アクセス」の3種類に分かれています。

GAなどで一般的な「直帰」の定義

まず、Webの分析においてよく使われる「直帰」に関して明確にしておきましょう。

あるサイトに訪問した際、最初の入口となったページ(ランディングページ)から他のページへ遷移せずにサイトから離れ、そのまま訪問(セッション)が切れることを、Web解析では一般的に「直帰」と表現します。「1ページしか閲覧しないで去ってしまった」という意味です。

例えば、以下のような状況で「直帰」が発生します。

  • 他のWebサイトから来訪した訪問者がページを閲覧し、画面をそのままにして30分以上経過した
  • 広告からサイトの利用を開始したが、ブラウザを閉じて30分以上経過したために訪問が終了した
  • 開きっぱなしにしていたタブをクリックしてリンクをクリックしたが、またタブを移動して放置した

「直帰数」を数値としてそのまま使うことは稀で、全体の訪問回数のうち、直帰となった訪問回数が占める割合である「直帰率」としてよく使われます。

一般的に「直帰率」は低いほうが望ましいとされていますが、ブラウザのタブで多くのサイトを開きっぱなしにすることが一般化し、スマホやタブレットなど利用するデバイスが増えてデータが分断化され、SNSでのリンクの斜め読みが増えた今となっては、時代遅れで解釈が難しい指標になりました。

「直帰率」を使う場合は、特定期間に条件をそろえて出稿した広告からの流入の評価や、SEO目的の特集コンテンツ配下の記事の比較評価など、条件をそろえて相対的に比較する必要があります。

Adobe Analyticsの「バウンス」と「直帰」の謎

Adobe Analytics上の「バウンス」は、定義がより厳しい「直帰」です。ウェブサイトに訪問して最初のページを閲覧し、全く何もアクションせずに離脱したときにカウントされます。

一般的な定義と異なるのは、最初のページを開いた後に、ボタンのクリックやスクロールなどのアクションがAdobe Analyticsによって計測されると、バウンスではなくなる点です。

つまり、訪問者が入口ページにアクセスした時に計測されたデータ以外に全く何もデータが送信されずに訪問が終了した時にカウントされます。

英語モードでは「Bounces」と表記されます。日本語モードでは、そのままカタカナで「バウンス」と表記されています。

バウンス | Adobe Analytics
ヒットが 1 つだけある訪問の数。

バウンスと定義が異なる「直帰」

「バウンス」とは異なり、Adobe Analytics上の「直帰」は、ボタンのクリックやスクロールなどのアクションを考慮しません。

Adobe社の公式ヘルプには以下の説明があります。

「単一ページ訪問」指標は、「ページ」ディメンション項目に訪問全体で一意の値が 1 つのみ含まれている訪問回数を示します。

少しわかりにくいですが、1つのページを1度だけ閲覧し、訪問が終了した回数、という意味です。

実は、英語モードでは「直帰」は「Single Page Visits」と表記されます。以前はこの指標は「単一ページ訪問数」と表記されていて、公式ヘルプでも「単一ページ訪問数」として解説されていますが、どこかの時点から画面上の表記が「直帰」に変更されました。一時的なバグであり、元に戻るかもしれません。画面上の「直帰」は、「訪問中に一つのページだけを閲覧した回数」として頭の中で読み替えるようにすると良いでしょう。

単一ページ訪問(指標) | Adobe Analytics
訪問で、「ページ」ディメンション項目が変更されなかった回数。

ページ以外でも使える「単一アクセス」

「ページ」以外のディメンションでも使えるように、「単一ページ訪問数」(直帰)と同じ定義の指標「単一アクセス」が用意されています。

例えば、サイト内検索のキーワードをセットしたProp1に「単一アクセス」指標を組み合わせると、訪問中に一度だけサイト内検索を実行した場合に、その時のキーワードの単一アクセスが「1」になります。

Adobe社の公式ヘルプには以下の説明があります。

「単一アクセス」指標は、訪問全体でディメンション項目に一意の値が 1 つのみ含まれていた訪問の回数をカウントします。この指標は、訪問中にどのディメンション項目が停滞しているかを確認したい場合に役立ちます。
単一アクセス | Adobe Analytics
訪問中にディメンション項目が変更されなかった回数。

「単一ページ訪問数」(直帰)と「単一アクセス」は、ディメンションを「ページ」にした場合は、どちらも「ページの値が1回のみ発生した回数」になるので、入口ページのみ閲覧してそのセッション終了した、という緩い「直帰」の数になります。クリックやダウンロードをしても、一方、その入口ページにおいてボタンクリックやスクロールなどのデータが計測された場合は、「バウンス」はカウントされません。

最近は「ページ表示」(ページビュー)よりも、その後のクリックやスクロール、マウス操作などのアクションが訪問者の意図を理解する上で重要になってきているので、「バウンス数」の方が役に立つ指標になりました。