Adobe Analyticsの計算指標を使いこなそう

Adobe Analyticsの計算指標を使いこなそう

Adobe Analyticsならではの分析に便利な機能が「計算指標」です。集計された指標(数値)をそのままレポート画面に表示するのではなく、絞り込みや計算、加工などの処理をしてから表示できるので、以下のような時に役に立ちます。

  1. 表計算の代用(複数の列の合算や割り算など)
  2. 配分方法(アトリビューション)の変更
  3. 人を軸としたデータの絞り込み

以前は、こういった集計をする場合は、タグマネージャー上で複雑なJavaScriptコードを書いて実装したり、Adobe Analyticsの標準的なレポート機能を使うのを諦めてデータをダウンロードし、BIやデータベースで集計・可視化する必要がありました。今では、Adobe Analyticsのワークスペース上で、こういった処理を簡単に実現できるようになりました。

代表的な活用方法を3つご紹介します。

(1)表計算の代用

複数の指標を合算や割り算などの四則演算や関数を用いて計算し、その結果を表示できます。エクセルにデータをコピーして計算させる必要がなくなり、ワークスペースだけでレポートが完結するので、便利です。

計算指標の例:一人当たりの閲覧ページ数

上の図のように作成した計算指標は、ワークスペースの表(フリーフォームテーブル)の列や行にドロップして追加できます。

ワークスペースに追加した計算指標「平均閲覧P数」

訪問者数やeventといった指標と同じように扱えます。

コンバージョン率や、一人当たりの訪問回数も同様です。二つの指標を割るだけの単純な計算指標の一種です。

計算指標の例:検討スコア

スクロール、動画再生完了、お気に入り追加など、検討行為の熱量を表す指標を加点することで、検討スコアを算出したい場合も、計算指標が便利です。各指標の重みづけや、過去に遡って算出の式そのものを変更できるので、結果をみながら柔軟に運用できます。

参考:計算指標の作り方(公式ヘルプ)

指標の作成 | Adobe Analytics
計算指標ビルダーは、ディメンション、指標、セグメントおよび関数をドラッグ&ドロップし、コンテナ階層ロジック、ルール、演算子に基づいてカスタム指標を作成するためのキャンバスです。この統合開発ツールでは、シンプルな計算指標または複雑で高度な計算指標を作成および保存できます。

(2)配分方法の変更

ディメンションと指標を掛け合わせた表を作る場合、指標をディメンションの項目にどう配分するかが問題になります。

以前は、この配分方法をディメンション(主にeVar)ごとにあらかじめ設定しておく必要がありました。例えば、お問合せに貢献したブログ記事をファーストタッチとラストタッチの両方で評価する場合、配分を「最初」に設定してブログ記事のURLパスを格納するeVarと、配分を「最後」に設定してブログ記事のURLパスを格納するeVarをそれぞれ2つ作成しておき、データ計測を開始する必要がありました。

計算指標を使うと、計測されたデータを集計してレポートに表示する時点で配分を設定できるので、ディメンション(eVar)の事前設定は不要です。計算指標の設定はすでに計測された過去データにも適用されるので、分析しながら自由に配分方法を変更できるようになりました。

レポート上で自由に変更できるアトリビューション設定

計算指標を使って配分方法を変更する分析の例:読んだ後に長期的にコンバージョンに至ることが多いコンテンツはどれか?

上の図では、お問合せコンバージョンをパーティシペーション方式で配分した結果をユニーク訪問者数で割る計算指標「お問合せ貢献度」を作成しました。

ディメンションを「ページ」に設定した表にこの計算指標を追加すると、閲覧した後にコンバージョンに至ることが多いかどうか、がわかるようになります。

LPではなく読み物系のコンテンツなどは特に、通常の「お問合せ」コンバージョンがほとんどゼロになってしまうことが多いですが、パーティシペーションを使うと、閲覧した直後ではなく、何ページがさらに閲覧したり、後日サイトを再訪問してからコンバージョンに至った数もカウントできるようになります。

参考:パーティシペーションとは

貢献度がわかりやすいパーティシペーション指標とは?
Adobe Analyticsのパーティシペーション指標とは パーティシペーションは、コンバージョンを割り当てる(配分する)方法を決めるアトリビューションの一種です。コンバージョンの値(購入金額やお問合せ回数など)をコンバージョン前に発生した全ての項目に100%ずつ全配分します。 コンバージョンに貢献したページやキャンペーンなど、貢献度を測る際に便利な指標です。 パーティシペーションならこうなる 例えば、以下のように3ページ経由してコンバージョン1件/300円を購入したとします。この場合、ページAもBもCも、それぞれが訪問者の気持ちを高めることに貢献し、相乗効果として購入というアクシ…

このパーティシペーションによる算出結果を、アクセス数で割ることで、お問合せ貢献度としています。

カレンダーの期間を半年、1年と長めにして、長期的なコンバージョンへの影響を調べるのも良いでしょう。

(3)セグメント適用による人を軸とした指標の作成

計算指標でセグメントを使うと、人や顧客軸の分析など、複雑な分析も可能になります。

分析の例:会員登録が必要なサイトで、メリットをしっかり理解した上で、登録後もサイト利用が継続するような流入を特定したい

レポート中の「登録前PV」は、「会員登録するよりも前のヒット」のセグメントを適用してページビュー数を算出する計算指標です。「登録後の再訪問」は、「会員登録した後の訪問」のセグメントを適用して訪問回数を算出する計算指標です。

計算指標でセグメントを使う方法については、公式ヘルプをどうぞ。

セグメント化指標 | Adobe Analytics
個々の指標でセグメント化を行うと、1 つのレポート内の指標を比較できます。

まとめ:計算指標で分析をレベルアップ

このように、「計算指標」機能は単なる表計算を超えて、複雑な分析も可能になる便利な機能です。ぜひ「顧客」や「人」を軸とした分析を実践してみてください。